一般社団法人設立のメリット・デメリットを非営利法人の専門家がわかりやすく解説!

近年、非営利法人である「一般社団法人」が注目されています。実際に一般社団法人を選択して事業をはじめる方も増えてきています。

任意団体で活動を行っている団体を法人化したい場合、新たに法人格を取得したい場合、どのような形態の法人を選択すべきか悩んでいる人も多くいるでしょう。

そもそも営利法人と非営利法人は利益を分配するかしないかによって区別されているので、営利事業を主とするのであれば株式会社や合同会社という選択肢が考えられます。

非営利法人を選択するのであれば、同じ非営利法人であるNPO法人という選択肢も考えられます。

では、なぜ一般社団法人を選択するのでしょうか。

一般社団法人を設立することによって得られるメリット、デメリットを見ていきましょう。

一般社団法人のメリット

メリット1.登記申請のみで設立ができる

一般社団法人を設立するには以前は都道府県知事等による厳しい要件をクリアしなければ設立できませんでしたが、現在では法務局への登記手続きのみで設立できます。

許認可制を取っていないため、株式会社を設立するのと同じようにスピーディーに行えます。一方、NPO法人は設立するのに半年ほどみておく必要があります。

メリット2.小規模であっても設立できる

一般社団法人は、小規模な事業形態でも設立できます。社員は2名以上置く必要がありますが、理事は1名で構いません。監事は任意ですので、小規模であれば置かなくても良いでしょう。

社員と理事は兼任できますので最低2名で設立できます。

NPO法人であれば、常時社員は10名以上、理事は3名、監事は1名以上置く必要がありますので、人数集めに頭を悩ませる必要はありません。

※社員とは従業員のことではなく、法人の構成員のことです。

メリット3.設立コストが安い

一般社団法人には資本金がありません。

株式会社のように株主もいませんので、設立時に財産を出資する必要はなく0円で設立できます(定款認証費用と登録免許税の法定実費はかかります)。

また、NPO法人のように行政庁からの認証は不要ですすので、膨大な書類を作成・準備する必要もありません。手間や費用がカットできます。

メリット4.事業内容に制約がない

株式会社と同じように目的や事業内容に制約はなく、公益事業や共益事業(法人の会員に限定されている事業)、収益事業も行えます。もちろん法に触れるような事業でないことが前提です。

NPO法人であれば活動範囲が法律に定められた20分野に特定されていますので、本来の事業に支障がない範囲でしか他の事業を行うことができません。

メリット5.収益事業以外は非課税になる

非営利型の要件を満たせば、収益事業から生じた所得以外は「非課税」になるという税法上の優遇を受けることができます。

これはNPO法人と同じ税制で、収益事業を行う場合はその事業にのみ課税され、収益事業を行わない場合は非課税です。つまり収益事業を行わなければ税金を納める必要がないという事になります。

メリット6.任意団体よりも社会的信用力がある

同じような事業内容であってもやはり法人格を持たない任意団体では、信用面で劣ります。事業主や代表者に何かあった場合(病気や事故、死亡など)に取引ができなくなったり、事業が畳まざるを得なくなる可能性もあるからです。

一般社団法人にすることで、例え代表者に何かあった場合でも事業が継続できるため、社会的な信用が上がります。

また、一般社団法人は法務局で登記されるため、登記簿謄本から法人の事業内容などが確認できるところも信用につながると考えられます。

メリット7.公益性があると思われる

一般社団法人は元々公益性のある法人であったため、現在でも一般社団法人=公益性があると思われます。

一般の人にはイメージ先行でなんとなく公益性があるだろうと思ってもらえることが多々あります(実情が伴っていなければメッキはすぐに剥がれますが)。

例えば同じ事業内容を株式会社で行った場合と一般社団法人で行った場合では、一般社団法人の方が公益性があると思われます。

そのため、ユーザーが高齢である介護事業や福祉事業を行うには適した法人といえます。株式会社や合同会社よりも安心感があると思われるようです。

メリット8.基金や寄付金を集めやすい

一般社団法人には資金を確保する手段として「基金制度」が設けられています。

株式会社のように資本金がありませんので、事業を運営していく上で必要な資金を調達することを目的としています。

株式会社ですとどうしても商売を感じさせますが、一般社団法人は公益性のイメージが強いので基金や寄付金を集めやすい法人でもあります。

メリット9.入会資格を限定することができる

一般社団法人は入会の条件を定めることができます。例えば、「○○大学を卒業している者」「○○業を営む者」「○○の資格を保有している者」など、入会資格を一定の者に限定することができます。

NPO法人では、社員の資格として条件を設けることは認められず、基本的には入会希望者を拒むことはできません。このため法人の意図しない者が入会する可能性もあります。

一般社団法人は法人の活動に適した会員を限定することができます。

メリット10.行政への報告義務がない

一般社団法人に監督庁はありません。ですので、行政から活動の制約もなく、報告義務もありません。

NPO法人は所轄庁による監督制度がありますので、所轄庁によって指導・監督されます。事業年度終了後に事業報告等を提出する義務や名称を変更したり、事業目的を変更するには、事前に所轄庁の認証を受ける必要があります。

一般社団法人のデメリット

デメリット1.利益が出ても分配できない

一般社団法人は非営利法人であるため、事業活動を行って利益が出た場合でも社員に分配できません。もしそのような定款の定めがあっても無効です。

株式会社では利益が出ると株主に利益を配当します。株主からすると配当がもらえるメリットがありますが、一般社団法人の社員にはそのようなメリットはありません。

デメリット2.面倒な書類作成が増える

毎年1回は社員が集まって定時社員総会を開催する必要があります。定時社員総会後に貸借対照表を公告したり、税務申告をしたり、役員の再任手続きを行ったりと法律に則った書類を作成し、保存しておく義務があります。

また、一般社団法人では事業内容や法人のタイプにあった会計基準を選択しなければならず、会計処理が煩雑になることもあります。

任意団体とは違い、法律で定められている事務作業が多く、運営の難しさを感じるかもしれません。

デメリット3.非営利型でなければ株式会社と変わらない

非営利型の要件を満たさなければ普通法人と同じ税区分になります。株式会社と同様にすべての事業について課税されます。

そもそも非営利型であっても収益事業には課税されますので誤解しないでください。

収益事業は全部で34種類あり、多くの事業が収益事業に該当します。つまり、医療や福祉、地域振興などごく限られた事業以外、実質的にはほぼすべての事業が課税対象だと言えます。

デメリット4.役員の登記手続きがある

一般社団法人では、理事の任期が最長で2年、監事の任期が最長で4年です。役員の任期が切れると同じ人が再任する場合でも法務局へ登記する必要があります。

最低2年に1度は役員再任の手続きに掛かる書類作成と登記手続きの登録免許税がかかることになります。株式会社では役員の任期は最長10年ですので、一般社団法人の方が煩雑になります。

まとめ

以上、一般社団法人のメリット・デメリットを見てきました。

いかがでしたでしょうか。

メリットの方が数は多いですが、デメリットも見逃してはいけません。

一般社団法人の設立を考える際には、本当に一般社団法人がいいのか、個人や任意団体のままの方がいいのか、あるいは株式会社や合同会社など普通の法人の方が良いのかを考えるとともに、一般社団法人特有のメリット・デメリットを踏まえた総合的な判断が必要になります。

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