一般社団法人やNPO法人は利益をあげてもいいのか?
非営利ってどういう意味?ボランティアという意味ではありません。
一般社団法人やNPO法人は、「非営利」という部分がクローズアップされているせいなのか、収益事業を行ってはならない、利益を上げてはいけない、と思っている方は非常に多いです。
ですが、そうではありません。この考え方は根本的に間違っています。
法律上も、収益事業を行ってはならない、利益を上げてはならないとは、一言も書かれていません。
*関連ページ:一般社団法人は給料を受け取ってもいいの?
株式会社でも一般社団法人でもNPO法人でも、長期的に事業運営を続けていくには、利益が必要です。これは当たり前のことですよね。
「非営利」の本来的な意味は、「事業から得た利益を、一般社団法人やNPO法人の社員に分配ををしてはいけない」となります。
株式会社では、決算後に余剰利益が発生した場合、株主に配当することが可能です。
「1株につき100円の配当金」などと聞いたことがあるかと思います。
このように配当という形で株主(構成員)に利益を分配することができるのが「営利法人」です。
対して、一般社団法人やNPO法人などの「非営利法人」は、たとえ余剰利益が出たとしても、法人の構成員(社員・会員)に利益を分配することはできません。
いくら利益が積み上がっても、一銭たりとも配当という形では社員に分配はできません。
では、利益を何に使えばいいのか?
利益が出て余ったお金は、すべて法人の活動資金にあてられます。
余った利益は翌事業年度に繰り越して活動資金に充てるか、あるいは、内部留保しておけばよいのです。
このように、一般社団法人やNPO法人は、余った利益を社員などの構成員に分配さえしなければ、自由に処分することが可能です。
意外に思われたかもしれませんが、それも当然と言えば当然です。
国会議員や国の役人でも正確に非営利法人という概念を正確に把握している人は少ないのが実情なのですから。
「全NPOが泣いた!」国会質疑2018:山本香苗 vs 世耕弘成
先日、大変興味のある記事を目にしました。
→「全NPOが泣いた!」国会質疑2018:山本香苗 vs 世耕弘成
この記事の中で、認定NPO法人フローレンスの代表理事である駒崎 弘樹氏がこのように仰っています。
「未だにNPOは非営利なんだから、利益とか出しちゃダメなんでしょ、なんで無料じゃないの、とか言われます」
そうなんです。
やはり、非営利というイメージだけが先行して、「NPOや一般社団法人はボランティア団体なんだから無償でサービスを提供しろよ」などと思われているんです。。
現役の方がそうおっしゃっているのを聞くと、やはりNPOを始めとする一般社団法人などの非営利法人は、まだまだ正確にはその性質を理解されていないんだなと痛感させられます。
記事中には、国から出される「ものづくり補助金」が企業限定で非営利法人が対象外なのはなぜか、という国会の質疑応答の中で、山本議員と世耕議員が「NPO法人は利益を上げていい」と名言していることについて、この2人はNPO法人を正しく理解している、とありました。
山本議員はNPO法人を始めとする非営利法人制度を正確に理解されている方で、
「NPO法人で上がった収益は全て事業に使わなければならない、つまり社会還元力が高いこと、補助金を企業に限定せず、NPO法人も対象にしてもらいたい」
ということを具体例を上げて発言していらっしゃいます。
経済産業省などのキャリア官僚でも「非営利法人は利益を出してはいけない」と思っている方がまだまだ多いのかもしれませんね。
創業補助金やものづくり補助金は未だに中小企業のみが対象で、一般社団法人やNPO法人などの非営利法人は受給の対象外となっています。
収益性が高い一般社団法人やNPO法人については補助金受給とするなどの特例を設けてくれても良いように思いますが、現状は難しいでしょうね・・・
さて、非営利法人でも利益を上げてもいいということは十分にご理解をいただけたかと思いますが、注意点もありますので、見ていきたいと思います。
利益を上げるのは問題ないが、法人の私物化はNG。利益相反取引とは・・・
利益相反取引とは、ある取引によって、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為を言います。
典型的な例は、NPO法人と、そのNPO法人の理事が行う取引を行うケースです。
例えば、理事個人が所有している自動車を、一般社団法人へ売却する場合が該当します。
NPO法人〇〇協会の理事AとNPO法人〇〇協会が自動車の売買を行うケースですね。
なぜ、このような利益相反取引が禁止されているのでしょうか。
理事という立場を利用して不当に高額な値段で自動車をNPO法人に売却し、NPO法人に損失を与えるということも考えられるからです。
特定非営利活動促進法第17条の4には、
特定非営利活動促進法第17条の4
特定非営利活動法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代表権を有しない。この場合においては、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。
と規定されています。
NPO法人を代表する理事が利益相反取引を行う場合、所轄庁に特別代理人を選任してもらわなければなりません。
特別代理人を選任するのは面倒だという場合は、予め、代表理事の他に代表権のある理事を選任しておく方法なども考えられますが、基本的には、そもそも利益相反取引に該当するような契約をしないというのも特別代理人の選任を避けるための、一つの方法です。
一般社団法人における利益相反取引について
なお、一般社団法人の場合は、法人にとって不利益となる恐れがある取引を行う理事は、予め社員総会または理事会の承認を得ておく必要があります。
- 理事会非設置法人は、社員総会の承認
- 理事会設置法人は、理事会の承認
社員総会の決議では、承認を行うのは理事ではなく社員(構成員)ですので、当事者である理事の立場は関係ありませんが、理事会の決議によって承認を行う場合、当事者である理事は承認決議に加わることができません。
利害関係人を除いた理事の過半数の決議によって承認が行われます。
承認後には決議を行ったことの証拠として、議事録を作成しておきます。
通常の社員総会議事録や理事会議事録と記載方法は異なりませんが、利益相反取引関する内容を説明し、その承認がなされたことを詳細に記載しておきます。
理事会議事録では、利害関係人である理事は決議に参加しなかったことも明確に記載しておきます。
尚、利益相反取引は法人の利益保護が目的ですので、利益を害するおそれのない取引であれば利益相反取引にはあたりませんので、承認は不要です。
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