一般社団法人の解散・清算手続きについて

社員総会による解散決議が一般的な解散方法です

当記事は、これから一般社団法人を解散しようと考えている方に向けて、一般社団法人の解散、清算手続きを行う場合に必要となる手続きについて、解説しております。

それでは、さっそく見ていきましょう。

一般社団法人を解散させるには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

一般社団法人の解散事由は、法律に定められています。下記のうち、いずれかの事由が発生した場合に、一般社団法人は解散することになります。

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散の事由の発生
  3. 社員総会の特別決議
  4. 社員が欠けたこと
  5. 合併
  6. 破産手続開始の決定
  7. 解散命令または解散を命ずる裁判

色々と事由が挙げられていますが、自主的に一般社団法人を解散させたい場合は「3.社員総会の特別決議」により、解散することになります。

上記の1と2の事由については、わざわざ解散する時期や事由を定款に定めている場合で、その期間が到来したり、その解散事由が発生しない限りは、該当しません。

4については、一般社団法人の構成員である社員が一人もいなくなった場合に、解散します。

5については、他の一般社団法人と合併することにより、解散します。

6はいわゆる倒産です。債務超過等により裁判所へ破産の申立をすることにより解散します。

7は一般社団法人が法令などに違反した際に、裁判所が行う解散命令により解散します。

3の社員総会の特別決議による解散が最も一般的でかつ事例も多いですから、当ページでは自主的な解散、社員総会の特別決議による解散手続きについて見てまいります。

社員総会の特別決議とは?

一般社団法人の重要事項を決定する「社員総会」は、構成員である社員が一同に集まって決議を行います。

法人を解散させたい場合、この「社員総会」において社員の承認を得なければなりません。

この承認決議は特別決議であることが必要です。

特別決議は、「総社員数の半数以上(頭数)」であって、「総社員の議決権の3分の2以上の賛成」が必要です。

例えば、社員が二人であれば、二人ともが賛成している必要があります。社員が三人の場合は、二人以上の賛成が必要ということです。

かなり厳しい要件です。一度作って活動していた一般社団法人を解散させるわけですから、当然と言えば当然です。

そもそも一般社団法人の社員、社員総会とは?という方はこれらの記事も参考にしてください。

*参考ページ:一般社団法人の社員とは / 一般社団法人の社員総会とは

社員総会で決議する内容は?

通常は社員総会の開催日をもって解散しますので、実務的には、一般社団法人を解散させることについての同意を、社員全員から得ておくことが重要になります。

特別決議があれば解散はできますから、全員の賛成までは必要ないのですが、社員が少数の一般社団法人であれば全員の同意を得た上で解散手続きに入るほうが、協力も得やすく、スムーズに手続きをすすめることができるでしょう。

清算人を選任する

社員総会では一般社団法人を解散することの決議と合わせて、「清算人」を選任します。

清算人とは、解散後の法人の残務処理を行う人のことです。

法人は解散したからといってすぐに消滅するわけではありません。

継続中の業務があれば完結させたり、法人名義の財産があれば処分したり、債務があれば弁済したり、その他にも、法務局への申請手続きや税務署等への解散届出、解散清算申告を行うなど、解散後の法人が行わなければならない事はたくさんあります。

これらの手続き(「清算手続き」と言います)を行う人を、「清算人」と呼びます。

清算人には、通常は代表理事が就任しますが、社員総会の決議によって第三者を清算人に選任することも可能です。

法務局での手続きについて

解散前は代表理事が法人を代表していましたが、解散後は清算人が法人を代表します。

社員総会後(解散日後)2週間以内に、清算人が法務局へ解散及び清算人選任の登記申請を行います。

一般的には『解散』とひとくくりにされていますが、厳密には3回の登記区分となっています。

  1. 解散の登記
  2. 清算人選任の登記
  3. 清算結了の登記

『1.解散』の登記と『2.清算人選任の登記』は、同時に法務局へ申請をしますので、実質2回登記手続きを行うことになります。

1と2の登記が完了すれば、登記簿謄本には法人が解散したことと清算人が登記されます。

ただし、1・2の登記が完了しただけでは法人は消滅せず、『清算手続き』を行い『3.清算結了』が完了するまで法人は清算の目的の範囲で存続します。

一般社団法人の清算手続きについて

清算人は、就任後に清算手続き(清算事務)を開始します。

清算人は次の職務を行います。

1.現務の結了

法人がこれまで行ってきた事業を終了させること。

例えば、契約先との取引を終えたり、商品在庫があれば処分したり、従業員を雇っていれば雇用を解消したり、事務処理関係の一切を終わらせることをいいます。

2.債権の取立て及び債務の弁済

未回収の債権(売掛金等)があれば取り立てます。

未払いの債務(買掛金等)があれば返済します。

一般社団法人名義の債権・債務がゼロになるように全ての財産を処分します。

3.残余財産の引き渡し

債務を弁済してもなお残余財産が残っていれば、定款の定めに従い処分します。

また、清算人は法人の債権者に対して『債権者保護手続き』を行います。

債権者保護手続きとは?

一般社団法人を解散することは、法人の債権者にとって重大な影響を与えますので、債権者に対して異議があれば申し出る機会を設けなければなりません。

これを『債権者保護手続き』といい、2つの手続きを行います。

1.官報に法人が解散することを公告する

官報とは国が発行している新聞のようなもので、毎日発行されている機関紙です。

この官報へ「法人が解散するので一定の期間内に債権を申し出る事、その期間内に申し出がなければ清算から除斥されること」を掲載して、法人の債権者等の利害関係者に広く通知します。

簡単に言うと、「法人が消滅しますので、債権者は名乗り出てください」と呼びかける手続きです。

2.知れたる債権者には個別に催告をする

公告とは別に法人が把握している債権者(知れたる債権者)に対しては個別に通知が必要です。通知内容は官報へ掲載する内容と同様です。

通知方法は、債権申出の催告書を個別に郵送するのが一般的です。

債権者保護手続きは、例え法人の債権者が1人もいない場合であっても省略することはできませんのでご注意ください(知れたる債権者がいなければ個別催告は不要)。

債権者保護期間は最低2ヶ月以上設けます。2ヶ月以上の期間が経過したら、債権者に債務を弁済します。

債務を弁済してもなお、残余財産が残っていれば、定款の定めに従い処分します。

例えば、定款に『解散時における残余財産の帰属先』を定めている場合は、定款で定めた帰属先に分配します。

もし定款で残余財産の帰属先を定めていない場合は、社員総会で決めることになります。

残余財産確定後、清算事務が終了したら、清算人は決算報告書を作成し社員総会の承認を得て、法務局へ清算結了の登記を行います。

*参考ページ:残余財産が残った場合の対処法

清算事務年度について

法人の事業年度は1年ですが、解散することにより事業年度が変わります。

事業年度の開始日から解散日までが『解散事業年度』となり、解散日の翌日から新しい『清算事業年度』が始まります。

例えば、法人の事業年度が毎年4月1日から3月末日の法人が平成30年8月30日に解散すると、

  • 平成30年4月1日から平成30年8月30日まで解散事業年度(5ヶ月)
  • 平成30年9月1日から平成31年8月30日まで清算事業年度(1年)

上記のように平成31年8月30日までに清算手続きが終わらなければ、清算が終わるまで1年ごとに清算事業年度が続くことになります。

上記のように事業年度の開始日から解散日が1年に満たない場合でも事業年度は強制的に終了し、清算事業年度において清算手続きを行っていくことになります。

事業年度が終了するということは、当然税務署へ解散事業年度の確定申告を行う必要があります。

比較的規模の大きい一般社団法人では、清算手続きに数年要することもありますが、通常は清算手続きが1年以上かかることはなく、数ヶ月で終了するのが一般的です。清算事業年度の途中で清算手続きが終了(残余財産が確定)した場合は、清算事業年度の開始日から残余財産確定日までが『残余財産確定事業年度』となります。

例えば、『平成31年1月10日』に清算手続きが終了すれば、清算事業年度は『平成30年9月1日から平成31年1月10日まで』の4ヶ月少しの期間で終了することになります。

清算手続きが終了すれば清算事業年度が終了しますので、税務署へ清算事業年度(残余財産確定事業年度)の確定申告を行う必要があります。

  • 平成30年4月1日から平成30年8月30日まで解散事業年度→解散確定申告
  • 平成30年9月1日から平成31年1月10日まで清算事業年度→清算確定申告

解散・清算手続きの流れ・フロー

一般社団法人の解散・清算手続きの流れは次の通りです。

  • STEP1 社員総会の決議(解散・清算人の選任)
  • STEP2 主たる事務所を管轄する法務局へ解散及び清算人選任の登記
  • STEP3 財産目録・貸借対照表の作成
  • STEP4 債権者保護手続き(2ヶ月以上の期間)
  • STEP5 税務署等へ解散の届出・解散確定申告
  • STEP6 清算手続き終了(残余財産の確定)
  • STEP7 社員総会の決議(決算報告書の承認)
  • STEP8 主たる事務所を管轄する法務局へ清算結了の登記
  • STEP9 税務署等へ清算結了の届出・清算確定申告

※STEP4債権者保護手続きの期間は2ヶ月以上を要しますので、STEP8清算結了の登記までの一連の手続きには、最低でも2ヶ月半以上かかるということになります。

解散・清算に伴う各種届出について

税務署や年金事務所等についても、解散に伴う手続きを行います。

<税務関係の手続き>

  • 税務署、都道府県税事務所、市区町村

法人が解散したこと、清算したことの届出を税務署、都道府県税事務所、市区町村に行います。また、解散・清算の確定申告も必要です。

<社会保険関係の手続き>

  • 年金事務所

役員や従業員が社会保険に加入している場合、健康保険・厚生年金の保険適用事業所全喪届の提出と資格者喪失の手続きが必要です。

<労働保険関係の手続き>

  • ハローワーク、労働基準監督署

従業員を雇っていて、雇用保険に加入している場合は、離職証明書を作成し、雇用保険資格喪失届を提出します。

全従業員の退職手続きが完了したら、雇用保険適用事業所の廃止手続きを行います。

労働保険に加入している場合は、労働保険料確定保険料申告書を提出します。労働保険料の還付があれば、労働保険料還付請求書も必要です。

※実際の手続きは解散する一般社団法人の実情により異なりますので、手続きの詳細は各役所の窓口で確認してください。

解散及び清算人選任登記に必要となる書類

  • 一般社団法人解散及び清算人選任登記申請書
  • 定 款
  • 社員総会議事録
  • 清算人の就任承諾書
  • 別紙(登記すべき事項)
  • 印鑑届出書
  • 清算人の印鑑証明書

※法人の概要によって書類の種類は変わります。

清算結了登記に必要となる書類

  • 一般社団法人清算結了登記申請書
  • 社員総会議事録
  • 決算報告書
  • 別紙(登記すべき事項)

※法人の概要によって書類の種類は変わります。

解散及び清算結了登記に必要な登録免許税等

  • 登録免許税:解散及び清算人選任登記 39,000円
  • 登録免許税:清算結了登記 2,000円
  • 官報公告費用:約40,000円

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  • 官報販売所へ解散公告掲載手続きの代行
  • 登記完了後の履歴事項全部証明書の取得(1通無料で取得代行いたします)

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