一般社団法人の「定款」について
一般社団法人を設立する場合には、社員になろうとする者が共同して(2名以上)定款を作成し、署名又は記名押印をしなければならず、この定款は、公証人の認証を受けなければ効力は生じません。
また、定款には絶対に記載しておかなければならない項目があり、これを「絶対的記載事項」といいます。
当ページでは、絶対的記載事項を中心に、「相対的記載事項」や「任意的記載事項」の解説もしております。
「絶対的記載事項」
1.目的
法律上、一般社団法人の事業目的については、特に制限はありません。公序良俗や法律に違反しない限りにおいては、どのような事業でも目的として定款に記載することができます。
しかしながら、通常の株式会社とは異なった記載方法を取られる一般社団法人さんもありますから、その場合は、必ず事前に法務局で文言や書き方など、確認を取っておきましょう。
関連ページ:「目的」について
2.名称
一般社団法人は、その名称に「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。同じ名称、同じ所在場所での登記はできません。また、不正の目的をもって、他の一般社団法人や一般財団法人であると誤認されるような恐れがある名称を使用することも許されていません。
関連ページ:「名称」について
3.主たる事務所の所在地
定款に記載する所在地は、最小行政区画(市区町村)までの記載で足ります。最小行政区画までの記載に留めた場合は、定款作成と同時か、定款作成後に、設立時社員によって番地まで決定しておく必要があります。
関連ページ:「主たる事務所」について
4.設立時社員の氏名又は名称及び住所
一般社団法人の設立に際し、定款に設立時社員の特定が必要になるため、設立時社員の氏名又は名称及び住所の記載が必要です。住所地の市区町村で発行される社員個人の印鑑登録証明書と同一の氏名・住所の記載が求められます。旧字体などで印鑑登録を行っている場合は、注意が必要です。社員が法人の場合は、法人の名称と住所を記載します。
関連ページ:「社員」について
5.社員の資格の得喪に関する規定
社員の変動に関する事項を記載。社員となるための資格、入退社の手続き、退社事由などの定めを記載します。
6.公告の方法
公告の方法には、
- 官報に掲載する方法
- 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
- 電子公告
- 主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲載する方法=法人の掲示場に掲示する方法
以上4つの公告方法があります。
この4つの中から広告方法を選択し、定款に記載します。
なお、費用や手間を考えて、一番現実てきなのは「官報」もしくは「主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲載する方法=法人の掲示場に掲示する方法」となるでしょう。
関連ページ:「公告方法」について
7.事業年度
一般社団法人は、各事業年度に係る計算書類、事業報告、その他付属明細書を作成しなければならず、これを事業年度ごとに行うことから、定款において、計算の基礎となる事業年度を記載します。いわゆる「決算月」です。
事業年度は法人によって自由に定めることができます。
顧問税理士さんと相談の上、決めるのが一番ですが、決算事務は煩雑ですので、決算を出来る限り先延ばしにするために、設立1期がフルで1年未満となるような設定方法もあります。
なお、一般社団法人の定款には、この「絶対的記載事項」のほかに、「相対的記載事項」(一般社団・財団法人法により定款の定めがなければその効力を生じないもの)や「任意的記載事項」(その他の事項で一般社団・財団法人法の規定に違反しないもの)を記載することができます。
下記に一般社団法人の相対的記載事項及び任意的記載事項を掲載しておりますので、ご参考下さい。
相対的記載事項
- 設立時役員等の選任の場合における議決権の個数に関する別段の定め
- 経費の負担に関する定め
- 任意退社に関する定め
- 定款で定めた退社の事由
- 社員総会の招集通知期間に関する定め
- 議決権の数に関する別段の定め
- 社員総会の定足数に関する別段の定め
- 社員総会の決議要件に関する別段の定め
- 社員総会以外の機関の設置に関する定め
- 理事の任期の短縮に関する定め
- 監事の任期の短縮に関する定め
- 理事の業務の執行に関する別段の定め
- 代表理事の互選規定
- 代表理事の理事会に対する職務の執行状況の報告の時期・回数に関する定め
- 理事会の招集手続きの機関の短縮に関する定め
- 理事会の定足数又は決議要件に関する別段の定め
- 理事会議事録に署名又は記名押印する者を理事会に出席した代表理事とする定め
- 理事会の決議の省略に関する定め
- 理事等による責任の免除に関する定め
- 外部役員等と責任限定契約を締結することができる旨の定め
- 基金を引受ける者の募集等に関する定め
- 清算人会を置く旨の定め
任意的記載事項
- 社員総会の招集時期
- 社員総会の議長
- 役員等の員数
- 理事の報酬
- 監事の報酬
- 清算人
- 残余財産の帰属
※注意事項
社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは無効です。
一般社団法人の定款記載例(理事会非設置法人・普通法人型)
一般社団法人 モヨリック 定款
第1章 総 則
(名称)
第1条 当法人は、一般社団法人モヨリックと称する。
(主たる事務所)
第2条 当法人は、主たる事務所を兵庫県神戸市に置く。
(目的)
第3条 当法人は、障害者の自立支援及び就労支援を目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う。
1.障害者自立支援法に基づく障害者福祉サービス事業
2.障害者の就労支援に関する事業
3.障害者への職業指導及び職業斡旋
4.前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業
(公告の方法)
第4条 当法人の公告は、当法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法により行う。
第2章 社 員
(入社)
第5条 当法人の目的に賛同し、入社した者を社員とする。
2 社員となるには、当法人所定の様式による申込みをし、代表理事の承認を得るものとする。
(経費等の負担)
第6条 社員は、当法人の目的を達成するため、それに必要な経費を支払う義務を負う。
(退社)
第7条 社員は、いつでも退社することができる。ただし、退社の申出は、1ヶ月以上前に予告するものとするが、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(社員の資格喪失)
第8条 社員が次の各号のいずれかに該当する場合には、その資格を喪失する。
(1)退社したとき
(2)成年被後見人又は被保佐人になったとき
(3)死亡し、若しくは失踪宣言を受け、又は解散したとき
(4)1年以上会費を滞納したとき
(5)除名されたとき
(6)総社員の同意があったとき
(除名)
第9条 当法人の社員が、当法人の名誉を毀損し、若しくは当法人の目的に反する行為をしたとき、又は社員としての義務に違反したとき等正当な理由があるときは、社員総会の特別決議によりその社員を除名することができる。この場合は、除名した社員にその旨を通知することを要する。
第3章 社員総会
(開催)
第10条 当法人の社員総会は、定時社員総会及び臨時社員総会とし、定時社員総会は、毎事業年度の終了後3ヶ月以内に開催し、臨時社員総会は必要に応じて開催する。
(招集)
第11条 社員総会は、理事の過半数の決定に基づき代表理事が招集する。
2 社員総会の招集通知は、会日より1週間前までに各社員に対して発する。
(決議の方法)
第12条 社員総会の決議は、法令に別段の定めがある場合を除き、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した当該社員の議決権の過半数をもって行う。
(議決権)
第13条 社員総会における議決権は、社員1名につき1個とする。
(議長)
第14条 社員総会の議長は、代表理事がこれに当たる。代表理事に事故があるときは、当該社員総会において議長を選出する。
(議事録)
第15条 社員総会の議事については、法令の定めるところにより議事録を作成し、社員総会の日から10年間主たる事務所に備え置く。
第4章 役 員
(役員)
第16条 当法人に、次の役員を置く。
理事 1名以上
2 理事のうち1名を代表理事とする
(選任)
第17条 理事は、社員総会の決議によって社員の中から選任する。ただし、必要があるときは、社員以外の者から選任することを妨げない。
(任期)
第18条 理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。
2 任期の満了前に退任した理事の補欠として選任された理事の任期は、前任者の任期の残存期間と同一とする。
(代表理事)
第19条 当法人は、代表理事1名を置き、理事の互選により定める。
2 代表理事は、当法人を代表し、当法人の業務を統轄する。
(報酬等)
第20条 理事の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当法人から受け取る財産上の利益は、社員総会の決議によって定める。
第5章 計 算
(事業年度)
第21条 当法人の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。
第6章 附 則
(最初の事業年度)
第22条 当法人の最初の事業年度は、当法人成立の日から平成31年3月31日までとする。
(設立時の役員)
第23条 当法人の設立時理事及び設立時代表理事は、次のとおりとする。
設立時理事 神戸 太郎
設立時理事 神戸 花子
設立時代表理事 神戸 太郎
(設立時社員の氏名及び住所)
第24条 当法人の設立時社員の氏名及び住所は、次のとおりである。
神戸市東灘区向洋町中6丁目9番地
設立時社員 神戸 太郎
神戸市東灘区向洋町中6丁目9番地
設立時社員 神戸 花子
(法令の準拠)
第25条 この定款に定めのない事項は、すべて一般社団法人及び一般財団法人に関する法律その他の法令によるものとする。
以上、一般社団法人モヨリック設立のためこの定款を作成し、設立時社員が次に記名押印する。
平成30年1月1日
設立時社員 神戸 太郎 印
設立時社員 神戸 花子 印
一般社団法人の定款認証について
定款認証とは何でしょうか?
定款認証とは、設立時の社員が作成した定款の内容が正確であるか、正しい手続きにより作成されたかを公証人が証明することをいいます。
公証人の認証がない定款は効力がなく、事前に公証人の認証を受けなければ、一般社団法人を設立することはできません。
定款を作成後に定款原案として公証役場に持ち込みます。公証人による事前チェックが終わったら、原則、設立時社員全員で認証を受けます。社員全員が行けない場合は、代理人を立てることもできます。
認証日の当日は、作成した定款3部と設立時社員の印鑑証明書と実印を公証役場へ持って行きます。代理人が定款認証を行う場合は委任状が必要です。
定款3部は、1部は公証役場保存用、1部は法人保存用、1部は法務局への登記申請用となります。認証手数料5万円は現金でその場で支払います。
定款認証手続きはスムーズにいけば20分ほどで終了します。
一般社団法人の定款にはいくらの収入印紙が必要ですか?
一般社団法人の定款には収入印紙は不要です。
株式会社を設立する際には原始定款に4万円の収入印紙を貼って、印紙税を納めなければなりませんが、一般社団法人の定款は印紙税法で定められている課税対象にはなっていませんので、収入印紙を貼る必要はありません。
よく電子定款にすると費用が安くなると言われていますが、これは株式会社の定款のように課税対象である場合に電子定款にすることで(紙でなくなるので)、課税対象とはならず、印紙代4万円を安くすることができるという事です。
そもそも一般社団法人は課税対象ではないので、収入印紙が不要ですので、電子定款にするメリットはデータ化されること以外に特にありません。
関連ページ:「定款認証」について
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