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一般社団法人と資金調達

日本政策金融公庫・制度融資・プロパー融資で借りられる?

営利を上げることを目的としていない非営利法人である一般社団法人は、各種金融機関(日本政策金融公庫、制度融資、銀行等)から融資を受けることは可能なのでしょうか?

見ていきましょう。

日本政策金融公庫

制度上は利用可能ですが、一般社団法人にとって創業時の融資による資金調達は、事業内容や収益計画によって難易度が変わります。

一般社団法人が創業時に融資を検討する場合、日本政策金融公庫の創業融資を利用できる可能性があります。現在、日本政策金融公庫では、「新規開業・スタートアップ支援資金」をはじめとした創業融資により、新たに事業を始める人や、事業開始後おおむね7年以内の人などを対象とした支援を行っています。

創業期の融資では、制度や申込内容によって、無担保・無保証人で利用できる場合があります。ただし、実際の融資可否や条件は、事業内容、自己資金、事業計画、返済見込み、審査結果等によって異なります。

なぜ、一般社団法人の場合は、融資の難易度が高くなることがあるのでしょうか。

一般社団法人が営利を上げることを主たる目的としていない法人だからです。

一般社団法人は、株式会社などの営利法人とは違って、利益の分配が許されておらず、また、解散時の残余財産も基本的には分配が許されていません。

当然、融資を受けた場合はそのお金を返済していかなければなりませんが、その返済原資は「利益」です。

融資を行う側の立場としては、返済原資となる利益を安定的に確保できるかどうかを確認することになります。

その点で、非営利法人である一般社団法人という法人格は、株式会社や合同会社などに比べると不利に働く場合があります。

資産が潤沢で大規模な一般社団法人(資本が潤沢な企業群による協会組織等)であれば話は別ですが、そうではない一般社団法人が大多数です。

とは言え、一般社団法人も制度上は利用可能となっていますので、事業内容や収益計画を整理したうえで、チャレンジしてみる価値はあります。

また、介護、障害福祉、子育て支援、地域課題の解決など、社会的課題の解決を目的とする事業を行う場合には、日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金」の対象となる可能性もあります。

もっとも、融資を受けられるかどうかは、法人格だけで決まるものではありません。事業内容、活動実績、収益見込み、自己資金、返済原資、事業計画の内容などを踏まえて、金融機関が個別に判断することになります。

*参考ページ:日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫HP)

*参考ページ:日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金(日本政策金融公庫HP)

制度融資

制度融資とは、自治体、金融機関、信用保証協会などが連携して実施する融資制度です。

制度融資の対象となる法人や事業者の範囲は、自治体や制度ごとに異なります。株式会社や合同会社などの営利法人を主な対象とする制度もあれば、一定の要件を満たす一般社団法人・一般財団法人が利用できる制度が設けられている場合もあります。

そのため、一般社団法人が制度融資の利用を検討する場合は、法人の所在地、事業内容、法人税法上の区分、信用保証協会の対象となるかどうかなどを、各自治体や金融機関に確認する必要があります。

特に、社会的課題の解決に取り組む事業、地域課題の解決を目的とする事業、介護・福祉・子育て支援などの事業では、制度によっては利用可能性を検討できる場合があります。

もっとも、制度融資についても、一般社団法人であることだけで利用できるものではありません。対象要件、事業計画、資金使途、返済見込み、保証の可否などを踏まえて、個別に確認することが大切です。

プロパー融資(銀行)

銀行が信用保証協会を利用せず、直接、法人に対して行う融資をプロパー融資といいます。

プロパー融資は、金融機関が自らリスクを負って融資を行うため、一般的には、法人の業績、財務内容、収益力、担保能力、返済実績などが厳しく確認されます。

そのため、設立直後の一般社団法人が、いきなり銀行からプロパー融資を受けることは、株式会社や合同会社の場合と同様に、難易度が高いと考えられます。

一方で、既存の一般社団法人で、継続的な事業収入があり、財務内容や返済能力が確認できる場合には、銀行融資を検討できる可能性があります。

プロパー融資を検討する場合も、法人の理念や社会性だけでなく、収益構造、資金使途、返済計画を具体的に説明できることが重要です。

融資審査のポイント

一般社団法人が融資による資金調達を検討する場合、融資審査では、一般的に次のような事項が確認されます。

  • 自己資金
  • 事業内容
  • 事業経験
  • 事業計画
  • 収益見込み・返済原資
  • 担保・保証人の有無

この中でも、特に重要になるのが事業計画です。

一般社団法人は、利益分配を目的としない法人であるため、融資を受ける場合には、どのような事業で収入を得て、どのように返済していくのかを、具体的かつ現実的に説明する必要があります。

会費収入、寄付金収入、事業収入、委託料収入、補助金・助成金など、複数の収入源がある場合でも、それぞれの継続性や確実性を整理しておくことが大切です。

なお、事業計画書の作成や融資審査対応は、金融機関の審査結果に直結する重要な作業です。必要に応じて、金融機関、税理士、中小企業診断士等の専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。

銀行融資が難しい場合は、一般社団法人特有の資金調達制度もある

一般社団法人が行い得る資金調達方法としては、融資のほかに「基金」という制度があります。

*参考ページ:一般社団法人の基金とは?

基金は、一般社団法人の活動資金として拠出を受ける制度です。借入とは異なりますが、一定の要件のもとで返還を予定することができる点に特徴があります。

基金を活用する場合も、拠出者に対して、基金の使途、法人の活動内容、返還の考え方などを分かりやすく説明できるようにしておく必要があります。

一般社団法人に基金を提供する人にとって、拠出した基金がどのように使われ、どのように法人の目的達成に役立てられるのかは重要な関心事です。

そのため、基金による資金調達を検討する場合も、事業計画、資金計画、定款内容、基金拠出契約書などを事前に整理しておくことが大切です。

非営利型より普通法人型の方が借りやすい?

一般社団法人には税制上、大きく2つに分類することができます。

株式会社と同様に税金がかかる「普通型一般社団法人」と、一定の要件を満たすとNPO法人と同等の税制優遇を受けることができる「非営利型一般社団法人」です。

どちらの法人の方が借りやすいかという質問もよく頂戴するのですが、一概には言えません。個々の法人の財務状況や事業内容によります。

とは言え、非営利型法人(共益的活動を目的とする法人)の場合は収益事業を主たる目的としてはいけないなどの要件があるため(普通型法人にはそのような規制は一切ありません)、普通型法人に比べると若干ですが、ハードルは高くなる傾向があるようです。

各金融機関によっても考え方は異なります。

一般社団法人であっても、事業内容、収益見込み、自己資金、返済原資、事業計画の内容によっては、融資を受けられる可能性があります。特に、社会的課題の解決を目的とする事業を行う場合には、ソーシャルビジネス向けの融資制度を検討できる場合もあります。

ただし、融資の可否は金融機関の審査によって判断されるため、一般社団法人であることや非営利型であることだけで、融資を受けられるわけではありません。設立前から、事業計画、収益構造、資金使途、返済計画を整理しておくことが重要です。

この記事の執筆・監修者

行政書士・社会保険労務士 津田 拓也

行政書士法人・社労士事務所MOYORIC 代表

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